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『コラテラル』(Collateral)2004年(米)


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『コラテラル』(Collateral)2004年(米)
トム・クルーズが悪役(殺し屋)を演じたサスペンス映画。

 

『トランスポーター』のジェイソン・ステイサムが、
運び屋役として空港のシーン(序盤)でカメオ出演しています。
「Collateral」とは、『巻き添え』を意味し、
偶然の出会いから意図せず犯罪の共犯者になりかけた話です。

 

 

作品情報

作品名『コラテラル』(Collateral)
公開:2004年(米)
監督:マイケル・マン
主演:トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス

 

 

あらすじ

タクシードライバー(ジェイミー・フォックス)は、ある夜にビジネスマン風の男性
(トム・クルーズ)の客を乗せる。そこで強引にタクシーの貸し切りを持ちかけます。
最初は規定違反なので断りますが、高額の報酬の誘惑に負けて引き受けてしまいます。
しかしその選択は、殺し屋の手伝い(共犯)になるものでした。
そんな意図も知らず、柔和な客とタクシードライバーの間柄として会話をしています。
ところが、トム・クルーズが殺した標的の死体が、タクシーに落下した事から事態が一変。
トム・クルーズの態度が冷徹な殺し屋の態度へ豹変します。
冷酷さと人情味のある一面を見せるトム・クルーズ。そして次々に展開する殺人。
次の殺し屋のターゲットは、ジェイミー・フォックスのタクシーの客だと気付き・・・

 

 

映画の感想

 

確か10年以上前に観た映画です。当時某所に書いたレビュー(というよりただの感想文)
を基にリライトした記事です。
10年経っても、たいして成長しない己の浅はかさに対する戒めとして書いています。

 

 

 

この作品は、ストーリーも当時のトム・クルーズも割と好きで吹き替え担当の森川智之さんも
好みの声(字幕で視聴したから、日本語版でのお声は聞いておりませんが)で、
印象に残る好きな物語です。でも実はストーリーよりも、もっと違うものに惹かれていました。

 

琴線に触れる言葉が散りばめられて、軽くは流せない作品となりました。

 

タクシー運転手のマックスを演じる、ジェイミー・フォックスはまるで自分を映す鏡のよう。
そして殺し屋のトム・クルーズの言葉のひとつひとつが心にひっかかり、突き刺さり、
反省し・・・という観察の仕方になっていました。

 

 

 

冷酷な殺し屋(トム・クルーズ)の悪役演技、次々に展開される殺人事件、
意外な人として優しい一面を見せているシーンや、クライマックスでは
都会の無関心さや冷たさ・・など、たくさん見どころがあります。

 

それでも一番印象に残るのは、タクシーの中でのトム・クルーズとジェイミー・フォックスの会話です。

 

 

 

 

 

 

 

マックスはいつも南の島の写真を眺める。
これで気持ちを癒している。

 

よくある「夢や自己実現」の手法です。
写真と手帳に貼ったり常に携帯し眺めるのは、手にしたいもののイメージを焼き付け
いつでも容易にイメージできるようにする。

 

こういうコラージュを作ろうと思いながらも実行してない自分から見て、
それを実行しているマックスは、偉いなぁと思いました。

 

 

 

ところが後に、マックスは「イメージだけはするけど、実行できずにいる人間」だと判明します。

 

客の殺し屋(トム・クルーズ)を乗せ、彼に自分の夢を語るマックス。

 

「気にするな・・しゃべらず直接 行動に それが男だ」

 

トムこそが、自己実現をしている行動力の伴った人間でした。

 

 

 

悪役だけれど、トム・クルーズの言葉(セリフ)は、何かを成した者の確かさがあり
決して夢見がちで、行動を怖れ、口だけ達者な人間の言葉ではありませんでした。

 

その冷徹さは、満たされなかった家族愛のせいなのでしょうか?
ジェイミー・フォックスの母親が入院先で花を贈るシーンがあります。
そしてジェイミー・フォックスへこう言います。

 

「お前を9ヶ月 腹に入れてた 病人には花を贈れ」

 

やはり殺し屋と言えども、男性は誰でも、母には弱いのでしょうか?

 

また別のシーンでは、こうも言います。

 

「親は自分の欠点を子供の中に見い出して その欠点をとがめるんだよ」

 

父との確執?
これは、当時の感想文を今読み返しても、そこで手を止め何度も読み返して
その意味を噛みしめてしまうセリフです。

 

 

 

「鏡を見ろ 清潔な車 リムジン会社の夢 いくら貯めた?
いつか夢が叶うと?

 

ある夜 目を覚まして気付く
夢は叶う事なく自分が老いたことを
お前は本気でやろうとしていない
記憶のかなたに夢をおしやり
昼間からボーとテレビを見続ける

 

俺に説教するな

 

リムジン会社の手付けくらい払ったらどうだ?
あの女への電話は?
なぜまだタクシーの運転手を?」

 

 

 

ごもっともです。 耳が痛いです。
リムジン会社を経営する夢だけのマックス。
そして的確な指摘、辛辣な意見を言えるトム・クルーズ。

 

 

 

この言葉のキツさやストレートさは自分を見ているようで痛い。
そして夢ばかり並べたて行動できない弱さも、それを攻撃された痛みも。

 

 

 

叶えたい夢さえ、見失いそうになる現実の生活。
本当にしたいことの為に、今は準備している・・他の事をしながら。

 

そんな人はこの世にゴマンといるんだろうなと思います。

 

 

 

そしてその中から、本当に夢を実現して行けるのは、いったいどれくらいいるんだろう?
みんな目の前の、生活に流されて行く。

 

現状のままでいるというのは、夢が怖いから。
失敗するのが怖いから。
今よりひどい状況になるのが怖いから。

 

 

 

そして何より、夢に向かって歩いて行っても
うまくいかない事を怖れている。

 

 

 

失敗を確信していたら、訪れるのは確実に失敗だけ。
だから上手くいく事を信じ込むのが良いけれど、怖さと戦い無限にループする。

 

 

 

成功する人の数が圧倒的に少ない職業を目指す人でなくても、
こういう事は、日常的に誰でも持ってしまう「怖れ」

 

 

 

犯罪はいけませんが、人としての強さと優しさを併せ持つ、
このトム・クルーズ演じる殺し屋は、魅力的だと思います。

 

 

 

願わくば、また何年後かに観た時に、
「昔は情けない感想を持った映画だった」という感想を持ちたい。
自分の人生にとって、触れてほしくないポイントを刺激される作品でした。

 

 

キャスト

ヴィンセント : トム・クルーズ
マックス : ジェイミー・フォックス
アニー : ジェイダ・ピンケット=スミス
ファニング : マーク・ラファロ
リチャード:ピーター・バーグ
ペドロサ : ブルース・マッギル
アイダ : イルマ・P・ホール
ダニエル : バリー・シャバカ・ヘンリー
フェリックス : ハビエル・バルデム
空港の男 : ジェイソン・ステイサム

 

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